Vol.03 おいしい水のために
ホールフードでいこう 〜ホールフードを知ってもらうための入門コラム〜
written by タカコナカムラ
Vol.03
おいしい水のために
近年、特に都市部においては、水道水を飲む人が減っています。
「なぜ、水道水の水を直接飲まないのですか?」と尋ねると
「美味しくない、塩素臭い」
「危ないから」
水道水から発がん物質「トリハロメタン」も検出されています。これは、湧き水などの自然な水からは検出されることはありません。
生活排水や工業はいすいは、処理され河川に流されていますが、有機物やアンモニアなどが多く含まれています。こうした物質の多くは、水中や土中で生物によって分解されますが、何分解性の物質は浄水場まで残留します。これらが殺菌剤である塩素などと反応して「トリハロメタン」を生成される原因になります。
安全な水が飲みたいならば、自分だけミネラルフォーターを飲んだり、浄水器を付ければ良いのではなく、水を汚さないことからはじまります。
具体的にどのようにしたらよいのでしょう?
洗剤を見直しましょう
「石けん」と「合成洗剤」の違いについて、シャボン玉せっけんのホームページhttps://www.shabon.comにわかりやすく説明されています。こちらを参考にまとめてみました。
「石けん」と「合成洗剤」の歴史
石けんの起源は約1万年前。人間が火を使うようになって、獣肉を焼いて食べることを始めました。その際、獣肉からしたたり落ちる油と木の灰が反応した土が、汚れを落とす土として発見されたのが石けんのはじまりと言われています。
一方、合成洗剤は、第一次世界大戦中、ドイツは石けんの原料である油脂が減り、石油を原料とするようになりました。日本では1963年に、合成洗剤の使用量が石けんの使用量を上回り、今日に至るまで合成洗剤が主流となってきました。反面、このわずか60年で様々な環境問題や健康被害が取りざたされるようになりました。もちろん、合成洗剤だけが理由ではありません。
「石けん」は、天然油脂もしくは脂肪酸から作られ、合成洗剤は石油や天然油脂から作られます。
石けんは、天然油脂(もしくは天然油脂が元の脂肪酸)を原料に、「ケン化法」もしくは「中和法」という製法で作られます。
天然油脂などの原料を苛性ソーダ・苛性カリと反応させることにより、石けんが出来上がります。手作りで石けんは作ることができます。
合成洗剤はその製造工程から、大規模な製造施設が必要で、手作りすることなんてできません。石油からアルキルベンゼン・アルファオレフィン・高級アルコールといった合成界面活性剤原料を作ります。それに硫酸化(スルホン化)や中和といった複雑な化学合成を経て合成界面活性剤を作り出します。 さらにビルダー(助剤)などを添加し、合成洗剤を製造しています。
最近では「植物由来」として、天然油脂を原料にした合成洗剤も存在しますが、石油由来の合成洗剤と同様に複雑な化学合成を繰り返し、最終的には自然界には存在しない合成界面活性剤を成分としています。
つまり、見分けがつかないという問題が浮上してきます。
石けんの表示をチェックしよう
石けんは、「石けん素地」や「カリ石ケン素地」、もしくは
「純石けん分(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)」という成分でできています。合成洗剤は化学合成で作られた、合成界面活性剤が成分となります。
つまり、商品の成分表示を見れば
石けんか合成洗剤かは、簡単に見分けられるのです。
合成洗剤の場合は品名に「合成洗剤」と表記があり、石けんの場合は「石けん」と表記があります。
また、合成洗剤と石けんが合わさった「複合石けん」というのもあります。
成分に『石けん』という文字がなければ合成洗剤として見てほぼ間違いないでしょう。
合成洗剤に含まれる「合成界面活性剤」ってなに?
「界面活性剤」とは、油と水など、混ざり合わない物質を混ぜ合わせものです。合成界面活性剤は約2,000種類。その中には、PRTR制度※で“人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質”に指定されている合成界面活性剤もあります。シャンプーや化粧品にもごく普通に使われていますので、石けんだけではなく、お風呂で使うもの、身近な化粧品も「合成界面活性剤」チェックしてみましょう。
石けんは、排水として海や川に流れ出ると、短期間で大部分が水と二酸化炭素に生分解されます。石けんカスも環境中に流れますが、微生物や魚のエサとなります。石けんは、生分解性に優れ、環境にもやさしい洗浄剤といえます。
※PRTR制度とは
「人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質について、環境中への排出量及び廃棄物に含まれての移動量を事業者が自ら把握して行政庁に報告し、さらに行政庁は事業者からの報告や統計資料を用いた推計に基づき排出量・移動量を集計・公表する制度」
蛍光増白剤について
「白さが輝く洗剤」「汚れ落ちがよく真っ白に」などのキャッチコピーを普通に見ることができ、洗濯物=白というイメージがすっかり染み込んでいませんか?
衣類を白くするには、「汚れを落として白くする」方法と、「汚れの上から白く塗る」方法があります。
合成洗剤に良く含まれる蛍光増白剤は、後者の「汚れを上から白く塗る」ための添加物です。
蛍光増白剤に汚れを落とす効果は無く、紫外線を吸収して青紫色を発し、目で見たときにより白く見せる効果を持っている染料です。
ブラックライトを当てると漂白剤が不気味に光ります。
蛍光増白剤は、洗濯物に残らないと効果を発揮しません。柔軟剤も同じで、
仕上げに使うため、残留しやすいものです。その結果、皮膚アレルギー、ひいてはとなりの人の合成の香りに悩む「香害」という問題も起こしています。
今の石けんの問題点
最近主流になってきたヤシの実洗剤の原料は、パーム油(アブラヤシの実からとれる油)やココナツ油(ココヤシの実からとれる油)です。エコ系の洗剤としてパーム油やココナツ油が洗剤の原料として急増しています。このことは発展途上国に対してどのような影響を与えているでしょうか。
大量のヤシ油を必要とするため、プランテーションでは大量の農薬、過酷な労働などの問題を引き起こしています。
パーム油は、洗剤だけではなく、マーガリンやスナック菓子、化粧品とさまざまな物に使われています。
最近では、合成洗剤も、植物由来のものを使っていたり、生分解性がよくなったものも商品化されています。
石けんと合成洗剤、まるごと考えてみると、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
ホールフードの考えからは、
石けんの方が環境にも肌にも優しいと考えています。しかし、いくら石けんでも使う量を考えましょう。油汚れのない食器には、お湯で洗い流すだけで十分落ちますし、汚れた食器は、先に紙や布で拭いてから洗うなどの工夫をしていき、使用量を押させるようにしましょう。
アクリル毛糸の手作りたわしもとても便利なので、作ってみましょう。