《Interview》澤田酒造株式会社 代表取締役社長 澤田薫 さん
Wholefood Interview
澤田酒造株式会社 代表取締役社長 澤田薫さん
− 愛される知多酒の伝統と歴史を守り伝えて −
| 澤田薫プロフィール |
嘉永元年(1848年)創業、澤田酒造(株)の六代目。1981年生まれ。2007年澤田酒造㈱入社。2009年(独)酒類総合研究所第103回清酒上級コース受講・修了。2015年代表取締役社長就任。現在2人の子育てをしながら、夫婦二人三脚で酒蔵経営をしている。夢は、自分の目で創業200年をみること。
澤田酒造株式会社
◯ 丁寧なお酒造りを、自慢の地域 知多半島で
お酒造りは、毎年毎年が一年生です。どんなにベテランの杜氏さんでも、そのように語られます。自然の恵みをいかして、微生物たちと造り上げるお酒には、これでよしという終わりがありません。天井がないということろが奥深さであり、面白みです。また、造ったお酒を消費者の方に喜んでもらえること、それも醍醐味の一つです。
こだわりで言えば、まずは米です。主原料の米は当たり前ですが、厳選された玄米を仕入れます。酒米は生産地に足を運び、各地の最高の酒米を用います。加工米も愛知県産米を使用し、愛知県産米の使用比率を高める努力をし、地産地消にも努めます。
そしてお水。知多の湧き水を使用しています。澤田酒造の酒造りの大きな特徴に、和釜・木甑・麹蓋という昔から用いられている道具を今でも使用していることがあります。
外硬内軟の蒸しをするのに最適な大きな杉樽は、地元半田の最後の桶職人に10年前に作ってもらったものです。また、酒造りの要である、麹造りには、丁寧な手入れで管理できる蓋麹法でつくっています。
現在麹室が焼失し、自社での製造ができていません。2021年秋に再建予定です。お米の旨味を素直に引き出した、知多半島の地酒らしい濃醇なお酒です。知多半島の醸造調味料の中で育まれてきました。知多半島は醸造半島。自慢の地域です。
◯ 六代目として、愛されるお酒造り
この道に入ったのは、長年務めてきた従業員の退社をきっかけに、蔵に戻ってこないかと母親に言われたのがタイミングです。
大学生の頃より、蔵女性サミットの皆さまとの交流を通じ、酒造りに真摯に向き合う女性がこんなにもたくさんいるのだと感動したのも大きな契機です。
当社は、<経営理念>に、「働き手良し、売り手良し、買い手良し、世間良し、自然良し」という「五方良し」の経営を掲げています。
また、<私たちの使命>として 「~五方を醸し続ける、酒蔵へ。~私たちは、素直、親切、謙虚、感謝、丁寧という五礼を旨とする五方の醸し手として、相手に良い影響を与えられるよう尽心尽力し、人としての成長を続けます。」
というミッションを定めています。
働き手や、売り手、買い手、世間、自然を醸せる=それらに良い影響を与えられる人や会社になりたいと思っています。地域や人を醸す酒蔵になりたいです。
そして、中でも「自然を醸せ」というところでは、未来への警鐘として、人は自然に生かされているという摂理を自戒し、人と人、人と自然がいきいきと協和できる豊かな未来のあり方を常に模索し、次代へ継承していきたいと考えています。
お客様に愛される酒質を作り続ける心構え、知多酒の伝統と歴史を守っていきたいですね。
そして、ただお酒を造るだけではなく、お酒の数ある楽しみ方の中でも、知多半島の常滑の我々だからこそ伝えられる部分の強化をしていきたいと思います。
◯日本酒文化の誇りを持って、後世に
ホールフードは私にとって「シンプルでナチュラルな生き方の礎」です。
毎年三河醸しツアーでお越しいただく度、弊社から皆様のお荷物を発送させていただくのですが、弊社にとっては当たり前のことをしているつもりなのに、毎回梱包が丁寧とほめてくださるのです。おかげで、旅の最後を毎回務めさせていただきありがたいことと感謝申し上げます。
蔵元に生まれて、この職業をしていて本当におもしろいなと思います。
それは、酒造りを通して日本の文化や伝統を感じたり、様々な分野の方に出会うことができるからです。また、美味しいたべものもいっぱい食べられるのも役得です。
地方に様々な酒蔵が、それぞれの気候風土の中で育まれ、歴史と伝統を受け継いで存在していることは、日本の誇りだと思います。
澤田酒造も規模はとても小さいですが、存在感のある蔵元でありたいと思います。日本の良さがギュッとつまった日本酒文化を誇りに思い、後世にバトンを渡していくこと、澤田酒造を継続させることが私の使命だと思っています。