Vol.07 有機JASについて学んでみよう

ホールフードでいこう 〜ホールフードを知ってもらうための入門コラム〜
written by タカコナカムラ

Vol.07
有機JASについて学んでみよう

自称オーガニック?

「オーガニック」「有機」には、自称と第三者認証があります。
自称とは、「オーガニック」という言葉のもつ雰囲気で、勝手にオーガニックを名乗っているもの。たとえば、オーガニックサラダとかオーガニックジュースとかメニューに表示されているもの、よく見かけませんか?
有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられています。

有機認証制度とは

有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査し、その結果、認証された事業者のみが有機JASマーク付けることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物と農産加工食品に、「有機」「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。
有機農産物、有機加工食品とそれぞれに法制化されています。
今年、ついに、有機JASのレストラン認証もスタートしました。
それぞれのルールについてはぜひ、学んでみてください。
まずは、有機農産物について、基本的な知識を紹介します。
有機JASは、自己申告ではなく、第三者の検査員が客観的にルールに基づき、
畑や農家の倉庫、出荷やラベルシール、納品など細かく現地に出向き調査をします。検査員は、有機認証団体から依頼され、検査に行く農家とは縁故関係のない人が選ばれます。

有機野菜の定義は?

種まき又は植え付けする2年以上前からほ場(畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと。ただし、病害虫の発生などで止むを得ず使用する場合の農薬や肥料は天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するものが指定されています。
ほ場や施設、用具などに農薬や化学肥料の飛散・混入がないこと。遺伝子組換えの種を使わないこと。
などの条件を満たすよう、JAS法で定義されています。
認定後も有機JAS規格に基づいた生産を行っていることを確認するため、最低1年に1回、認定農家等の調査を行い更新制となっております。
認定費用はもちろん農家負担ですが、その手間は、かなりの労力と時間が必要となります。

無農薬と有機栽培の違い

「無農薬と有機栽培の野菜は、どっちが安全?」となると、誰がどうやって栽培しているのかがわかるものであれば、どっちも安全性は高いとは思います。
しかし、極端なたとえかもしれませんが、うちは農薬を使用しないで栽培していても、すぐ隣で農薬使っていたらどうでしょう?
今年は、無農薬で栽培できても、その前はどうだったのか?
今は無農薬・・・・コレってどうなんでしょう?
特に、店頭に並ぶ場合は、畑のルールがない限り、「自己申告」となってしまいます。
現在は、自然栽培という栽培スタイルもあります。農薬や化学肥料を使わず、除草もしなかったり、畑を耕すこともしないで自然のまま栽培することもあります。
こちらを支持される方には、有機JASでは、防虫目的である種の農薬の使用が
認められていることに疑問を持たれる人もあります。自然栽培にも、さまざまな民間レベルの基準があります。
有機栽培派、自然栽培派、無農薬派など、農業にも残念ながら派閥があるようです。
でも、彼らの目指すゴールは同じであると私は考えています。
農業を次の世代につなげていきたい。
安全な野菜やお米を次の世代の人にも残したい。
土や水、豊かな山や森を残したい。
そう願っていると思います。
だから、どれが正しいとか、これはダメだとか対立していくことはどうなのかなあと感じております。
どっちもいい、どっちも一理あり。
有機認証を取得するためには、ただ農薬や化学肥料を使わないだけではなく、それを第三者に証明するための、仕入れの書類や出荷の際の包装資材の在庫、伝票整理、野菜の保管場所の管理など農作業とは違う事務作業が必須となります。
資材の保管場所や倉庫の防虫まで、細かくチェックされます。
そこまで手間がかかるんだから同じ野菜を倍の値段で売れるかというと・・・けっしてそうではありません。
その工程を知っている私は、有機認証を取得されている家族経営の農家さんや小規模の生産者の苦労がわかるので、頑張ってくださいと応援したくなるのです。
初心に戻ると、有機栽培の目標は、「環境に負荷をかけない農業」とされています。もともと、農業はそうであったはずですよね。

有機野菜をオリンピック選手村に

有機野菜コーナーが大手スーパーの売り場でも目にするようになりましたが
実際の流通量は、野菜流通量の1%にも満たないもの。まだまだ、有機野菜も有機加工食品も広がりはゆっくりです。
2020年東京オリンピック選手村でも国産有機野菜は品不足で、有機野菜使用のルールも崩れてしまいました。
それを重大な問題とは政治家も認識がないことが今の日本の農業政策のスタンダードが垣間見れますね。
世界の歴史をみても、農業をないがしろにする国は滅びるのです。
「な、訳ないだろう・・・」
「お金さえ払えば、世界中から食材は取り寄せることができる」時代はとっくに終わっていると思っています。

土壌は生態系の基盤

農業もしない私をはじめ、都市生活者に必要なことは、有機野菜を買おうという前に、有機認証制度、農薬や化学肥料の弊害、土作りをすることがどれほど大変で、どれほど重要であるかをもっと知ってほしいと思います。
みなさんは、土壌がどうやってできるかご存知でしょうか?
先日、筑波大学の田村憲司先生のセミナーを受講し、改めて考えさせられました。
土は、岩石が風化して、枯葉や動物の死骸などの有機物が加わり、雨や空気の影響を受け「土壌」となっていきます。
1cmの表土ができるには、100〜数百年かかるといわれています。
土壌は生態系の基盤なのです。
そんな大切な土を壊してしまったら、元に戻るまでに同じ年月がかかります。
安全な野菜を食べたいと願うなら、土や水のこと、環境のことを大切にしなければ成り立たないということに気づいてほしい。
そうすると、スーパーのレジ袋さえ必要としないし、むやみに合成洗剤や殺虫剤も使いたくなくなるものです。
日本の土の下の環境がどのようになっているか、自分の健康や美容と同様に、もっと関心をもってほしいと願っています。
種のお話しはまたの機会に〜〜〜。