《Interview》株式会社 角谷文治郎商店

Wholefood Interview

株式会社 角谷文治郎商店

− 一家で守り伝える「米一升、みりん一升」三河みりん −

| 角谷文治郎商店 沿革 | 
明治43年(1910)3月 初代文治郎、現在地を創業の地と定める。酒類(みりん・焼酎乙類)の製造免許を請ける。
昭和60年(1985)8月 代表取締役に角谷利夫就任。
平成12年(2000)6月 オーガニック認証(JONA、OCIA)取得。
平成23年(2011)2月 FOOD ACTION NIPPON アワード2010 製造・流通・システム部門 優秀賞受賞。
主な商品として、三州三河みりん、有機三州味醂、三州梅酒(濃醇・辛口)を製造。

株式会社角谷文治郎商店
http://www.mikawamirin.jp/

◯「米一升、みりん一升」まるごとの美味しさ

もち米の美味しさをこうじの力でまるごと引き出したのが弊社の三河みりんです。
普段私たちが口にしているお米(ごはん)は、噛めば噛むほどじんわりとやさしい甘さを感じることができます。しかしながら、それはお米のおいしさのほんの一部。こうじの力を借りて、時間をかけて熟成させると、上品でコクのある甘さが出てきます。それがみりんの美味しさです。

三河みりんの原料はもち米と米こうじ、本格米焼酎のみ。そのため、原料のお米は国内指定産地の厳選したものを使用しています。産地から玄米の状態で送ってもらい、自社で精米し、原料の焼酎も自社で醸造しています。
「米一升、みりん一升」。これは弊社のみりん造りの特徴です。
米一升(1.5kg)からできるみりんが一升(1.8ℓ)という意味。お米まるごとの美味しさが詰まっています。

◯こだわりではなく、当たり前のみりん造り

よく「みりん作りのこだわりはありますか?」とご質問をいただくのですが、みりんづくりの基本は、もち米・米こうじ・米焼酎のみで仕込むこと。当たり前のことであって、社長にとっては、こだわっているとは考えていないのです。
あくまで、当たり前のものを造り続けていくということです。
そういった思いを皆で共有できているのは、会社の中での学び合いがありますね。
社長の講演は、皆が何度も聞いていますし、家族はその機会が特に多かったと思います。伝えたいことや大事なことはここなんだと、芯の部分は側で学んできました。

◯田んぼに育まれてきた、「お米のお酒」

みりんの原料はお米です。そして醸造というのは、その土地の気候風土や文化によって育まれ、現代に受け継がれてきています。
それを後世に残していくためには、環境保全や農産物の生産者さん、使ってくださる生活者の方々との相互的なつながりというのが益々重要になっていくと思います。これからもお米の美味しさをお客様にお届けすると共に、田んぼの風景の大切さも伝えていきたいです。

また、みりんは調味料として使用されることが多いですが、実はれっきとした「お米のお酒」。調味料という枠に囚われず、みりんそのものの美味しさをもっと多くの方に知ってもらいたいです。それが田んぼの風景を守ること、環境保全につながっていくと思います。

◯ 守りと攻め、これからの三河みりん

「米一升、みりん一升」の伝統製法、自社精米、自家製焼酎での造り、そして安心安全、お客様に喜んでいただける商品づくりを守っていきたいと思っています。
弊社のみりんは「三州三河みりん」と「有機三州味醂」の2つだけです。
他のメーカーは、長期熟成のものや糖類を加えたものなど様々な種類がありますが、弊社は商品を絞り、あくまで普段使いできるみりんをよりおいしくすることに特化しています。

そして、みりんの新たな使い方、和食だけではなく、「もち米のリキュール」として、フランス料理や中華料理、スイーツに積極的に提案していきたいです。最近では、食パンや焼き菓子、チョコレートにも使われています。
さまざまな用途開発をしたり、コラボレーションをしたりと、業界では先頭を切っているのではないかなと思います。
実は、ジェイアール名古屋タカシマヤの催事「アムール・デュ・ショコラ」でも、三河みりんを使ったチョコレートを販売しました。このチョコレートを考案したのは、「レ・トロワ・ショコラ パリ」の佐野恵美子さん。日本人女性で初めてフランスでチョコレート専門店をオープンされた方です。高島屋の店頭だけでなく、オンライン販売もあるので、ぜひチェックくださいね。

(参考URL)
「アムール・デュ・ショコラ」の三河みりんを使った「レ・トロワ・ショコラ パリ」
https://bit.ly/3pjCWMZ

◯ ホールフードとは食べ方であり、生き方

社長の角谷は、最初に展示会でタカコ先生にお会いしました。そのあと、ブラウンライスさんで再会し、自然食品を扱っている卸会社「片山」さんのイベントでもお会いして、ご縁が深まっていきました。
また、2015年7月に、10時から17時までみりんについてしっかり学べる「みりんマエストロ講座」を企画・開講していただきました。私たちにとっても初の試みの7時間の講座。翌年には福岡でも開催していただき、みりんについて1日かけて学びたい方たちが多くいることを知り、感銘を受けると同時に、とても励みになりました。

ホールフードとは「全体食」、「一物全体」というイメージで、「まるごと食べる」と理解しています。みりんも、お米だけを使っていること、麹の力でお米の美味しさを引き出しているということで、ホールフードに通じる部分もあるのかなと感じております。
私にとってホールフードとは、食べ方であり、生き方であり、指針のようなものです。

ホールフード協会が主催されている、三河醸しツアーに毎年来てくださる方々、そしてツアーを企画してくださることにとても感謝しています。来て良かったと喜んでいただき、何度も来ていただけるようにと思います。
三河醸しツアーの映像の中でご紹介していますが、新設したキッチンスタジオは、これからたくさんの方に来ていただき、たくさんの情報、体験を持ち帰っていただく場所にしたいですね。
社長をはじめそれぞれのメンバーが思い描いていること、イメージしているものがあるので、それらを合わせたらすごく多様なイベントが開催できると思います。
企画できるようになったら、全国からみなさんにぜひ来てください、という発信をしていきたいと思います。